鶴仙渓に架かるこおろぎ橋の袂に佇む「こおろぎ楼」は7代目オーナーが営む130年の歴史をもつ老舗旅館ですが 現代のニーズに合わせた改修が必要となりました。今回の計画は3つの項目から成ります。
①地階1階から地上3階をつなぐ4層エレベーターの増設
②本館地階1階 地上2階 3階を露天風呂付き客室に全面改修
③新館屋上に広い人工木デッキテラスを増設
その後 時期をずらして外装の補修 塗装の工事を行っています。
リニューアルした旅館は 長期滞在 リモートワークといったこれからの宿泊形態を考慮して 広さと空間にゆとりを取っています。客室から テラスから そして館を出て遊歩道から いろいろなシチュエーションで山中温泉の自然景観を感じていただける様に計画しました。
往々にして老舗旅館は度重なる増改築によって建築基準法的に曖昧になってしまっている場合が多くあります。今回の確認申請はエレベーターの増築のみが対象ですが これを機会に全館の避難経路 避難距離 防火区画 非常照明 各居室の採光・換気・排煙を含め 包括的に安全・避難計画を見直しました。
確認申請図書にも明記した上で完了済証の公布に至り 今後 増改築における明確な指針となるようにしました。