「住宅の安全と快適」
自分の目で確認できる自然素材で「安全」と「快適」を両立する
今、日本の食への安全神話が崩れつつあります。住宅も同様ですね。いろいろな材料が輸入され、自然のものに見せかけた合成材料や接着剤で貼り合わせたものが多く流通しています。食で言えば「安全な食材で美味しい料理を食べる」が理想です。住宅に換えて言うと、「安全な建材で快適な住宅に住まう」となります。安全な建材とは、簡単にはやはり自然素材でしょうか。それも生産を自分の目で確認できる範囲の素材がより安心できます。では快適とは何でしょう。安全な建材=快適な住宅とは言い切れませんね。人間にとっての快適は、単に生物学的な面だけでなく、歴史的・社会学的・美学的な見地からも多様に捉えられ、そこには広い意味でのデザイン、つまり総合する力が必要とされます。ますます、安全が強く意識される時代になり、安全と快適、両方を併せ持つ住宅が求められます。素材の持ち味を生かす創意と技が美味しい料理の秘訣とすれば、同様に、安全を選ぶ目と快適を創造し実現する力、そこに建築家の能力が発揮されます。