第4回JIAいしかわ建築大賞2011

受賞コメント

石川で活動する多くの建築家の厳しい眼に晒されるこの賞は 他の賞よりもより強い緊張感の伴うもので 大賞に選ばれたことはたいん光栄なことです。私は建築デザインに際して 常に日本の伝統的家屋の持つ空間性を意識しています。陰翳があり 風が吹き抜け 自然の気配が流れる<うち-そと>の曖昧な空間として現れます。空間は内から外へ 庭から風景へと連続し 変化に富む秩序を内在し 建築をひとつの有機的な全体像 つまり環境へと統合します。その統合力が これからの我々の生活や生き方に 大きな役割をはたすものと思っています。

本宮保育園が目指すのは「こころ」と「からだ」の育成です。「小さいけれど多くの人々 多くの生きものとかかわることのできる」ここはそんな保育園です。そして建築は人と共に 地域の自然と社会と共に在ります。①隣接する神社 周囲の自然と競わないフラットな屋根 ②園舎の外周をめぐる犬走りと庇 ③雨雪の日でも遊べる広い三和土(タタキ)の土間 ④木や珪藻土等 ふんだんに用いた能登の建築素材 ⑤環境に配慮した日本の伝統手法と太陽光発電や土壌蓄熱の新しい設備以上の取り組みにより 地域に根差しながら これまでにない空間を提案しています。