住民の多くが農業を営む金沢市福増南に、古き日本家屋を思わせる交流館が建っている。40帖の集会室があるものの、長靴を履いたまま土間で立ち話をしたり、縁側に腰掛けたりする人の姿も多く、昔ながらの風景がそこにはある。縁側の高さは車イスに合わせ、段差のないスロープもあり、足が不自由な人でも訪れやすい。土間は広場へるながり、時々子供たちのはしゃぐ声が聞こえる。
屋内から軒先まで延びた梁は、10メートルの木材を3本つなげたものが13列並び、真ん中に膨らみを持たせることで天井が少し高く見えるようにしてある。梁、柱、建具とふんだんに使われた県産材は、あえて見せることで風合いを出している。伝統様式を取り入れつつ、現代的なデザインや機能を盛り込んだ交流館は、地域にしっかりと溶け込んでいくだろう。施工は宮本工務店。