子ども達のため新しい空間を

「これまでと同じ施設をつくっても仕方がない。子ども達が自由に楽しく、快適に過ごせるように考えた」と、設計のポイントを説明するのは、金沢めぐみ幼稚園舎で、第24回石川建築賞の優秀賞を受賞した建築家の谷重義行氏。

優秀賞の受賞は2年連続となる。「子ども達が育っていくために、まったく新しい空間をつくりたかった」という。そこで出てきたのが、開放的な遊戯室の吹き抜け空間と、すれに面するすべてかたちの異なる部屋。「各部屋がゆるやかにつながっており、子ども達が思い切り走り回れる。園児達の中に、集中を発散のメリハリが生まれ、自主性が養われてきた」と言われている。

思いがけない発見は、自閉症の子どもが、園舎内では普通に過ごしていること。「たぶん保育室を閉鎖的にせず、自由な出入り口をつくってあるから安心するのでは」と分析する。

「建築をいまのままでいいとは考えない。いまある人の環境の中で、絶えず変わっていくものとしてとらえたい。それが建築と社会の接点になる」と主張する。